三日月の絆その6

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固有結界

固有結界

瑞樹は昇を抱きかかえたまま塔也を睨み付けている。

塔也は場の重力を改変したのか、浮くような形でゆっくりと赤き校舎の屋上から地上に降りてくる。

玲於奈の眼前に立ちはだかっていた朱雀が翼をはためかせ彼のもとに戻ると、彼女は鎌を構え、隙を見せないよう二人に歩み寄る。

「叔父様。これはどういう事です?」

何がどうなっているのか、訳がわからない。

叔父は死んだのではなかったのか?

昇は塔也に向かって何かを言っていたようだが……

(兄さんは、何かを知っていたの?)

昇を抱きしめる両手には依然、淡い光が灯されている。炎によるダメージと、魔力による体内侵食がひどい。すぐに手当てを施さねば、命に関わる。

「私が敷いた『固有結界』を使ったか。『類感の法則』を利用し、魔力を高めるとはな。播磨の次期当主候補と言われるのも伊達ではないという事か」

頷きつつ独白し、紫の法衣をなびかせた。彼の背後には灼熱の煉獄。熱により陽炎が幾重にも立ち昇り、闇を赤く焦がす。

音もなく地に降り立った塔也は、

「まあ良い。やっと、私が不死と絶大なる力の鍵を手にする時がきたのだから」

瑞樹の問い掛けを無視し、妖艶な笑みを玲於奈に向けた。

「……そのためだけに、わざわざこうして出向いたの?」

「腕だけよりは、やはり全身に秘められた方程式を探る方が効率も、自らに『錬金転換』を施した時の効果も大きいからな。あの吸血鬼の血族は我が呪いによってもはや貴様一人。このまま呪いにかかって死なれては髪一本も残さず土に還ってしまう。こうして私の方から出て来たのは、お前にしてみれば意外だったか?」