式と解
「お前に欠けているものは、他の者が補ってくれる。お前は、他の者にはない力でその者達を助けてやればよい。お前にしか出来ない事を、為せば良い」
おぼうさんはそういってたちあがる。
でも。
そういわれても、ぼくはじしんがない。
いつもいつも、ぼくはあのひとたちにいわれていた。
できそこない、けっかんひん。
……ぼくにしか、できないことが、ほんとうにあるの?
「小僧。自分を信じろ」
おぼうさんは、ぼくのかおのたかさまで、じぶんのかおをもってきた。
「その刻印は、自然に発生したものではない。何者かの手が加えられたもの。私の力では解呪出来ぬが……悪あがきをしてみた」
わるあがき?
「『刻印』に介入し、体内循環系の魔術の行使が可能になる方程式を組み込んでみた。成功するかどうかは小僧、お前の努力次第」
!
「ぼくにも、『ちから』がつかえるようになるの?」
おぼうさんはあみがさからぼくをみて、
「一部ではあるが、お前の精進によっては」
ふかく、ふかくうなずいた。
「そしてもう一つ。この刻印を施した者であろうが……ある特定の方程式には反応しないようにこれは象られている。その方程式に抗えるよう『意思活性化』を直接『刻印』に打ち込んでみた」
いし、かっせいか?
なにをいっているのか、ぜんぜんわからない。
「今はわからなくとも良い。その方程式を扱う者とお前が対峙した時、この記憶は蘇るようにしておいた」
? ? ?
ぼくは、このとき、とてもむずかしいかおをしていたんだとおもう。だから、おぼうさんは『わからなくともよい』っていったんだ。
「これほどの魔術を施す者だ。それだけでは心許ない。さらに『刻印』に、奴が肝を冷やすであろうものを仕掛けた」
おぼうさんはぼくのかたにてをおいて、
「意思を、強く持て。そうすれば、お前の『刻印』は応えてくれる」
そういって、おぼうさんはあみがさを、おやゆびで、くいっ、てうえにむける。
「そこに式と解が在るなら、どれだけ巨大な魔力であろうと」