滅
叫びと呼応するように『刻印』が再び赤く染まる。
(意思を強く持て! 奴に負けないよう……皆を助けられるよう!)
「我に定められしは絶対の式。汝に添えられしは伽藍の理」
青龍に飲み込まれた左手から、異種の魔力が昇の体を侵食し始める。
しかし、昇の詠唱にかげりは聞こえない。
「ここに汝の敗北は必定なり!」
眼を見開き、『刻印』に組み込まれた塔也の方程式を、精神補助の魔術『意思活性化』の方程式を用いて打ち払うと、『刻印』に秘められた恐るべき解体力が青龍に作動。水で象られた青き鱗はたちまちの内に干からび、その牙が音もたてずに蒸発・消滅していく。
「滅っ!」
叫びと共に青龍に飲み込まれた左腕を、顎から切断するよう一閃。首を切断された青龍は淡い水珠となって地に還ってゆく。
「……っ!」
その光景を見つめていた塔也は、瑞樹から朱雀の支配権を奪う事も忘れて双眸に怒りを迸らせた。
「貴様如き出来損ない一人に、我が『青龍』が封じられただと……よかろう! 端山昇、まずは貴様から消してくれる!」
昇に向けて翳した右手が闇に包まれる。黒き稲妻によって空間が帯電していく。
「させるかっ!」
危険を感じた司影が反射的に魔力を発動。ルーンソードを用いて打ち出した巨大な黒き刃は無数の黒刃に分裂し、塔也に降り注ぐ。
「ど……どうなってんだよ?」