三日月の絆その6

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暗雲

暗雲

だが、その刃が、全く塔也に届いていない。むしろ攻撃が塔也の魔力に吸収され、こちら側に向けられている闇が大きくなった気さえする。たまらず後退りする司影。

(……こんな広範囲の攻撃、『魔封じの刻印』じゃ一部は出来ても、全範囲の無効化なんて出来っこねえぞ!)

 刻印を使えば、魔術の無効化は出来る。だが、刻印は、今日だけで幾回も使ってきた。体が刻印の副作用に耐え切れるだろうか?

さらに、塔也の攻撃はこの一帯全てを破壊する大規模なもの。そんな広範囲にわたる攻撃魔術を、副作用云々を抜きにして、『魔封じの刻印』だけで全てを無効化出来る訳がない。

……残る手段は、たった一つ!

「字さん! 剣を俺に!」

後方から昇の逼迫した声が届いた。

字久は左手に握った剣を昇の足元に投げ付ける。

「兄さん、一体何を……」

「瑞樹。皆に言っておいてくれ。今の内にありったけの魔力を練り上げておいてくれ、って。それと……」

言うが否や昇はふらつく足取りで瑞樹から離れ、ルーンソードでアスファルトを切り付け始める。

昇から見て頂点が逆さの、逆五芒星を。

「……わかりました。皆さん、魔力を練り上げて下さい!」

瑞樹の叫びを聞き、訳もわからず字久が、司影が、玲於奈が各々の力を極限にまで高め始める。

アスファルトに紋様を刻み終えた昇は剣を放り投げ、右手に持つ七色の水晶を地面に叩き付ける。

両腕を交差し、暗雲立ち込める天空に向かって左手を伸ばし、風が唸りをあげる地に右手の甲を向ける。