闇の光
闇の光が剣にまとわれると、眼前の人物は向かって来る氷槍を、神速を思わせる速度で粉々に迎撃。パラパラ、と細かな氷の破片が飛び散り、周囲の熱気に蒸発していく。
これには塔也も『ほう』、と口から感嘆の声をもらし。
何かに気付いたように、咄嗟に脇に飛び退く。紫のコートがビリビリ、と音をたてて破れた。
アスファルトが衝撃により陥没し、閃く剣が地面に突き刺さった。塔也がアスファルトに片手を突きつつ状況を把握しようとすると、蒼い影はすでに塔也に近接していた。
「我がまといし不可視の衣よ、ここに具現せよ!」
右手を掲げ詠唱が終わるのと同時に、左右の剣が塔也の首目掛けて別々の生き物のように奔る。
シャァァァアン。
しかし、剣は不可視の障壁に阻まれたように砕け散り、赤き夜に銀の雨をふらせたのみ。何者かは即座に塔也から跳び退きつつも法衣から新たな剣を取り出し、鋭い視線を向ける。
「……楠木さん」
「……字久先輩」
玲於奈と瑞樹は、それぞれの知人に向かってその名を呼んだ。