三日月の絆その6

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なぶり殺し

なぶり殺し

「……世話、かけたな、瑞樹」

上体をどうにか起こし、風に切られた右腕で瑞樹の頭をなで、

「……帰って……きたぜ、司影」

血だらけの左手で司影の手をペチリと叩く。

「これで……字さんにも、地獄まで追っかけられませんね」

不敵な視線を字久に送り、頷きあう。

「……終わりましたよ、全部」

痛む体に鞭打ち、口元を血で彩りながら玲於奈に向けて微笑を浮かべる。

昇の背後では、いまだに西側校舎の一部分が燃え盛っている。東側の大部分は塔也が産み出した『朱雀』によって炭化していた上に、昇の『開封の儀』により完全に破壊されてしまっていた。

皆が皆の顔を見つめあい、笑い声をあげようとしたその時、

「くくくくっ! はははははっ!」

狂った嗤い声を十の耳が捉えた。

昇を除く四人は即座に立ち上がり、音源を顧みる。昇も片膝を突きつつ、頼りない足取りでどうにか立つ。

「切り札は全て使った。余力も、もうあるまい。私の勝ちだ!」

紫のコートは焼け焦げ原型を留めていない。しかし血だらけになりながらも、塔也は三日月に向かって両手を広げ高々と宣言した。

もう、皆の魔力は尽きている。

ここにいては、塔也になぶり殺しにされるだけだ。

「……皆……俺を置いて……逃げろ!」

切り札は、使ってしまった。

魔力は、全員、すっからかん。

勝ち目は、もう、無い。

だが昇の言葉を無視するかのように、四人は昇を守るように彼の前に壁を作り、塔也から眼を離そうとしない。