三日月の絆その6

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選択

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幽鬼のごとく塔也に歩み寄り始めた。

「にいさ……」

瑞樹が昇を止めようとしたが、字久に肩をつかまれる。

振り返る瑞樹が見たのは、字久の険しい顔。

「彼が、選ぶ道です。我々に、口を挟む権利はありません」

ゆっくりと首を横に振る。

司影も玲於奈を見やるが、彼女は無言で昇を見つめるだけ。

ザッ、ザッ、ザッ。

無機的な足音だけが静寂に響いていく。

それを見届けるのは彼の友人と三日月。

塔也が静かに嗤う。

「くくくっ、見ろ、これが人だ。絆? 皆自分が一番可愛いのだ。偽善という虚飾の何と剥がれ易き事よ。三日月のように欠けた者同士の寄り合いなど、所詮満月の如き完全なる私には敵わんのだ!」

昇に向けて両手を広げる。

「お前は、知者の選択をした。さあ、この呪いをその『刻印』で」

唐突に、塔也の言葉が切れる。

昇の『右手』が拳を握り、顔面を殴りつけたのだ。

『右手』で殴られた顔を覆い、憤然と昇を見上げる塔也。

「知者の選択? それが賢いって事なら、俺は喜んで馬鹿になってやるさ」