欠点
拳を握り、哀れむように塔也を見下ろす昇。
「欠けた者の寄り合い? 完璧な奴には勝てないとでも言いたいのか? 不完全な者は、完全な奴に劣るとでも言いたいのか?」
搭也を見下ろす昇の視界には、三日月を背にする事で自身の影がくっきりと浮かび上がっていた。
「確かに、俺は欠点だらけだ。攻撃用の魔術だなんて呪符使わなきゃ出来んし、行使しても三流レベルだ。探索や回復系統なんざクソも使えねえ」
自らの思いを残さず吐露する。その間にも、塔也の背は一時的に大きくなりはしたものの、瞬く間に小さくなっていく。
「俺と、お前じゃ、勝負にもならねえ。一瞬で消されて終わりさ……でも、俺は、今、こうして立っている」
痛む体を労わるよう、軋む空気を吸い込む。
「それは、皆が、いたからだ。自分よりも大切に思える、皆がいたから、俺は欠けた月でありながら、満月以上の輝きを放てた。皆の力があったから、ここまで輝けた」
愕然とする塔也に背を向け、
「魔術なんて、いらない。俺の欠けた部分は、皆が補ってくれる。俺は、皆と一緒の道を歩いていく。満ち足りた、でも孤独な道なんて、真っ平ごめんだ。俺は、不完全だけれども、笑っていられる、幸せな三日月の絆の方を選ぶ」