三日月の絆その6

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冗談

冗談

「……闇を嗜好する詠唱だとしても、気にする必要はないわ。光の魔術を扱う者でも邪な者は存在する。吸血鬼という存在も、世間の間では邪悪な存在でしょうけれど、全てが全てそうだとは限らない。ようは、心の持ち方次第」

公園のベンチに腰掛けながら玲於奈は司影の疑問に答えている。

司影に封じられた『死影』については四人が口裏を合わせた。塔也に操られそうになった所を字久が助けた、という事にしたのだ。

燦々と輝く太陽を見上げ、

「レオナ、呪いの方は解けたのか? それと、太陽当ってても大丈夫なの?」

司影は気遣わしげに視線を向ける。

「時間退行は、今日で完全に止まったようだし……太陽に関しては、貴方達が普通に『暑い』と感じる位には大丈夫。強いて言うならば、軽く疲れる程度ね」

「うーんと……聞きにくいんだけど……血は吸わなくてOK?」

「大抵の吸血鬼は献血程度の量しか血液を頂かないのよ……映画みたいに致死量まで吸う吸血鬼も、いることにはいるんでしょうけど……そこの所を詳しく知りたければ、高遠君に聞いてみるといいわ」

『暑い』というより、むしろ、全く疲れていないように見える。以前司影がほとんど誘拐に近い形で一緒に走った時は、汗の一滴も流さなかったのだから。

「でも、字久か……一生の不覚だ。あいつに助けられただなんて」

彼女の今日の服装は青のジーンズと黒のワンピース。字久の軽薄な声が鼓膜に蘇ってきた司影は、そのジーンズを握り締め、悔しそうに見つめている。

「……じゃあ、昇君に助けられれば、一生の思い出?」

玲於奈の一言にボッ、と司影の顔が赤らむ。

「なななな、何言ってんだよレオナ!」

相手の顔も見ずに、膝の上に組んだ指をいじりながらそう言われても説得力はない。だが、

「私なら、やっぱり好きな人に助けられたいもの」

心持ち唇を吊り上げ、悪戯っぽく玲於奈は追い討ちをかける。

「レ、レオナ? 何悪い冗談」

「冗談を言うような人に、私が見える?」